2010年7月2日金曜日

ロンドン2日目ヘンリープールからの洗礼

ロンドンのど真ん中、イギリス大学の学生寮。学生がバカンスに出かけた空き部屋を激安で借りての4日間その2日目。窓の外から手入れの行き届いた美しい公園の木々が風で擦れ合う音、澄んだ風が心地よく顔に注がれることで私は目を覚ました。人生にとって必要なすべてが整っている完璧な状態で一日が始まる。そんなロンドンの2日目が始まった。

ヘンリープールという仕立て屋をたずねた。昭和天皇や白州次郎、吉田茂がスーツを注文してきた泣く子も黙る世界トップクラスの仕立て屋だ。ナポレオンに現在のスーツスタイルを提案し、市民服として認めさせたことで世界中に現在のスーツスタイルが浸透したといわれるまさに現在のメンズファッションの起源。それがヘンリープールだ。仕立て屋という仕事をしている私が、この店を訪れるのは、世界中の牧師がバチカンを訪れることと似ているかもしれない。
いつものように強運な私は、ヘンリープールのオーナーと直接話す幸運に恵まれた。
私は彼に早速質問した「仕立て屋にとって一番重要なことは?」と。
ヘンリープールのオーナーであるサイモン・カンディー氏は、そんな私の質問に即答して見せたその答えは私の想像よりはるかにシンプルで、私を納得させるものだった。
「サービス&プロダクトクオリティー」
たったこれだけのフレーズに、ヘンリープールというイギリストップクラス、いや世界のVIPが一度はスーツを作らせたい店の哲学が詰まっている。
荘厳なロンドンの町並みに知る人ぞ知る歴史的な名店がこじんまりとした佇まいで、今尚確かな鼓動を打ち続けている。
3週間に渡る、ヨーロッパ出張は、こんなドラマチックな幕開けからスタートした。